2019年04月10日

民法1−28 用益物権 行政書士試験過去問 2012年問29

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし正しいものはどれか。




1、甲土地が乙土地に囲まれて公道に通じていない場合、AがBに対して囲繞地通行権を主張するためには、Aは甲土地について、所有権の登記を具備していなければならない。

2、甲土地と乙土地とは、もともと一筆の土地だったが、分筆により他の土地に囲まれていて公道に通じていない甲土地が生じ、これによりAが乙土地に対する無償の囲繞地通行権を有するに至った場合、その後に、乙土地がCに売却されたとしても、Aは、当然にCに対して、この通行権を主張することができる。

3、AがBとの間の賃貸借契約に基づいて、乙土地を通行している場合において、その後に、甲土地がCに売却されたときは、これによりCも当然に乙土地を通行することができる。

4、Aは、少なくとも、20年にわたって、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然と乙土地の一部を通行していれば、A自ら通路を開設していなくても、乙土地上に、通行地役権を時効取得することができる。

5、Aが地役権に基づいて、乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後に、Cが通路の存在を認識しながら、または、認識可能であるのに、認識しないで、Bから乙土地を承継取得した場合は、Cが背信的悪意者に当たるので、Aの通行地役権設定登記がなされていなくてもAはCに対して、通行地役権を主張することができる。










胡桃「これも相隣関係に関する常識的な問題だわ」

建太郎「おぅ。宅建でやったことだな」

胡桃「まず、1はどうかしら?」

建太郎「囲繞地通行権の問題だな」




(公道に至るための他の土地の通行権)

第二百十条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけ があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。




胡桃「問題は、土地の所有者は登記を有していなければならないのかどうかだけど?」

建太郎「とりあえず、所有者であれば、登記を経ていなくても、囲繞地通行権を主張できると考えるべきだよな。さもないと住めないじゃん」

胡桃「判例も登記は必要ないとしているわ。2はどうかしら?」

建太郎「まず、条文だな」




第二百十三条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。

2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。




建太郎「無償で囲繞地通行権を行使することができると」

胡桃「問題は、残余地の所有者が変わった場合も主張できるのかということだけど?」

建太郎「もちろんできるよな。残余地の所有者に対して課せられた制約ではなくて、土地に対して課せられた制約だからだよな」

胡桃「そうね。判例も、囲繞地通行権は、袋地に付着した物権的権利で、残余地自体に課せられた物権的負担と解すべきものであるとして、民法二一三条の規定する囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生じた場合にも消滅しない。としているわ」

建太郎「OK」

胡桃「3はどうかしら?」

建太郎「ええっと……。これは土地の賃借権が、Cに譲渡されたということだよな」

胡桃「そうよ。何の問題になるかわかるわね?」

建太郎「転貸だな」




(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。




建太郎「Bの承諾を得なければ、乙土地の賃借権をCに対して譲渡することはできないと。だから、Cが当然に、乙土地を通行することができるわけではない」

胡桃「そうね。4はどうかしら?」

建太郎「通行地役権を時効取得するための要件の問題だな。判例によれば、通行地役権を時効取得するためには、要役地所有者が通路を開設しなければならないとされていたよな。承役地所有者が好意で開設した通路を通行させてもらっているだけでは時効取得できないと」

胡桃「そうね。条文を確認しておくわよ」




(地役権の時効取得)

第二百八十三条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。




胡桃「次、5はどうかしら?」

建太郎「結論はその通りだけど、背信的悪意者だからという部分がおかしいよな」

胡桃「そうね。判例は、この事例で、設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべきとしているわ」

建太郎「というわけで答えは、2だな」



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posted by 実務で学ぶ資格試験プロジェクトチーム at 20:23| 行政書士試験過去問