2019年04月13日

民法1−30 担保物権 行政書士試験過去問 2011年問30

法定地上権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、妥当なものはどれか。




1、Aは、自己所有の土地(更地)に抵当権を設定した後で、その土地上に建物を建築したが、抵当権の被担保債権について、弁済をすることができなかった。この場合において、抵当権者が抵当権を実行して競売すると、この建物のために、法定地上権は成立せず、建物は収去されなければならなくなることから、抵当権者は、土地と建物を一括して競売しなければならない。

2、AがBから土地を借りて、その土地上に建物を所有している場合において、Bは、その土地上に甲抵当権を設定したが、Aから建物を取得した後に、さらにその土地上に乙抵当権を設定した。その後、Bは、甲抵当権の被担保債権について弁済したので、甲抵当権は、消滅したが、乙抵当権の被担保債権については、弁済できなかったので、乙抵当権が実行されて、その土地は買い受け人Cが取得した。この場合、この建物のために、法定地上権は成立しない。

3、AがBから土地を借りて、その土地上に建物を所有している場合、Aは、その建物の上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後で、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権を弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買い受け人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

4、Aが自己所有の土地と建物に共同抵当権を設定した後、建物が滅失したため、新たに建物を再築した場合、Aが抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、土地について抵当権が実行され、その土地は買い受け人Bが取得した。この場合、再築の時点で、土地の抵当権が再築建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事由がない限り、再築建物のために、法定地上権は成立しない。

5、AとBが建物を共同で所有し、Aがその建物の敷地を単独で所有している場合において、Aがその土地上に、抵当権を設定したが、抵当権の被担保債権について、弁済できなかったので、その抵当権が実行され、その土地は買い受け人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。










胡桃「これは、基本的な判例と条文の知識を問うだけの問題だわ」

建太郎「むむっ……。でも宅建と比べて問題文が長いな」

胡桃「まず、1はどうかしら?」

建太郎「法定地上権は、抵当権設定当時に、土地の上に建物が建っている場合に成立するんだよな。1の場合は、法定地上権は成立しない」




(法定地上権)

第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。




胡桃「そうね。法定地上権が成立しない場合は、一括競売する方法があるけど、これは強制なのかしら?」

建太郎「いや。任意だよな。条文に……」




(抵当地の上の建物の競売)

第三百八十九条 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。

2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。




建太郎「できると定められている通りだ」

胡桃「2はどうかしら?」

建太郎「乙抵当権が設定された当時は、土地の上に建物が存在していて、両方ともB所有になっていたわけだから、法定地上権が成立するよな」

胡桃「そうね。これは比較的新しい判例だけど、法定地上権が成立するとしているわ。判例を確認しておくわよ」




土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が設定契約の解除により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において,当該土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する。




胡桃「3はどうかしら?」

建太郎「建物に抵当権が設定された場合だな。建物の場合は、一番抵当権設定当時、土地と建物の所有者が異なっていても、二番抵当権が設定された当時に、双方の所有者が同一になったときは、一番抵当権者の申し立てによって、競売がなされたとしても、法定地上権が成立するよな。さもなければ、建物の買い受け人が、建物に住めないことになってしまうから」

胡桃「そうね。これが、土地に抵当権が設定された場合だと、結論が異なるのはいいわね?」

建太郎「うん。土地について、一番抵当権が設定されたときに、土地と建物の所有者が異なっていた場合は、法定地上権は成立しない。土地と建物の所有者が異なるということは、何らかの借地権が設定されているはずだからだな」

胡桃「4はどうかしら?」

建太郎「その通りでいいよな」

胡桃「これも判例そのままの事例だわ」




所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。




胡桃「5はどうかしら?」

建太郎「建物が共有で土地が債務者の単独所有だった場合だな。土地について抵当権が実行された場合は、法定地上権が成立するな。さもなければ、建物の共有者のBの権利が害されることになるから」

胡桃「というわけで答えはどれかしら?」

建太郎「4だな」




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posted by 実務で学ぶ資格試験プロジェクトチーム at 20:15| 行政書士試験過去問