2019年04月16日

民法1−32 担保物権 行政書士試験過去問 2008年問31

AはBに金銭を貸し付け、この貸金債権を担保するために、B所有の土地の上に建っているB所有の建物に抵当権の設定を受けて、その登記を備えた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし誤っているものはどれか。




1、Aの抵当権が実行された場合、抵当権設定時に、建物内に置いていたB所有の家電製品のテレビには抵当権の効力は及ばない。

2、抵当権設定時に、B所有の土地の登記名義はCであった場合でも、抵当権実行により、買い受け人Dのために、法定地上権が成立する。

3、抵当権設定登記後に、Bが同抵当建物をEに賃貸した場合、BのAに対する債務不履行後に生じた賃料について、抵当権の効力が及ぶので、抵当権の実行として、Aは、この賃料から優先的に弁済を受けることができる。

4、抵当権設定登記後に、Bが同抵当建物をFに賃貸した場合、対抗要件を備えた短期の賃貸借でも、賃借人Fは、抵当権実行による買い受け人Gに対抗できない。

5、抵当権設定登記後に、Bが同抵当建物をHに賃貸してその旨の登記を備えた場合、抵当権実行による買い受け人Iからの明け渡し請求に対して、賃借人Hは、明け渡しまでの使用の対価を支払うことなく、6か月間の明け渡し猶予期間を与えられる。










胡桃「抵当権に関する基本的な条文と判例の知識を問う問題だわ」

建太郎「おう。簡単だな」
胡桃「まず、1は、どうかしら?」

建太郎「抵当権の効力の及ぶ範囲の問題だな」




(抵当権の効力の及ぶ範囲)

第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。




建太郎「抵当権の効力は、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」

胡桃「問題は、テレビに抵当権の効力が及ぶかどうかだけど」

建太郎「さすがテレビには及ばないだろ」

胡桃「そうね。テレビは、従物に該当するかどうかが問題になるわ」




(主物及び従物)

第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

2 従物は、主物の処分に従う。




胡桃「従物に該当すれば、抵当権の効力が及ぶのは分かっているわね」

建太郎「うん。当然だな」

胡桃「ただ、従物というためには、主物の効用を助けるものであることが求められるわ。テレビは、建物の効用を助けているとは言えないから、従物に当たらないということね」

建太郎「うん。OK。これが、エアコンとかなら、従物に当たるわけだな」

胡桃「2はどうかしら?」

建太郎「建物に抵当権が設定された場合だから、抵当権設定当時、土地と建物の所有者が異なっていても、その後、双方の所有者が同一になったときは、抵当権者の申し立てによって、競売がなされたとしても、法定地上権が成立するよな。さもなければ、建物の買い受け人が、建物に住めないことになってしまうから」




(法定地上権)

第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。




胡桃「そうね。3はどうかしら?」

建太郎「条文そのままだな」




第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。




胡桃「4はどうかしら?」

建太郎「その通りだな。賃借権を抵当権者に対抗するためには、抵当権者の同意が必要だ。短期賃貸借だから、対抗できるわけではない」




(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)

第三百八十七条 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。




胡桃「5はどうかしら?」

建太郎「抵当建物使用者の引渡し猶予期間内ももちろん、建物の使用をしたことの対価を支払う義務があるよな」




(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

第三百九十五条 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者

二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者

2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。




胡桃「というわけで答えはどれかしら?」

建太郎「5だな」




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posted by 実務で学ぶ資格試験プロジェクトチーム at 19:24| 行政書士試験過去問