2019年04月24日

民法1−38 債権総論 行政書士試験過去問 2007年問32

次の事例のうち、直接強制の方法によって、債務者の債務の強制的実現を図ることができるものはいくつあるか。




1、銀行から500万円を借り入れた企業が返済の期限が到来したにもかかわらず、返済をしない事例。

2、画家が顧客との間で、顧客の似顔絵を描く契約を結んだにもかかわらず、似顔絵を描こうとしない事例。

3、カラオケボックスの経営者と周辺の住民との間で、騒音を巡って紛争が起き、夜12時から朝10時までカラオケボックスの営業をしないとの合意が両者の間で成立したにもかかわらず、夜12時を過ぎても、カラオケボックスが営業を続けている事例。

4、ある者の名誉を毀損する記事を雑誌に掲載した出版社が、名誉棄損を理由として謝罪広告の掲載を命じる確定判決を受けたにもかかわらず、謝罪広告の掲載をしない事例。

5、建物の賃貸借契約が終了し、賃借人が建物を明け渡さなければならないにもかかわらず、賃借人が建物を占有し続けている事例。










胡桃「これは、判例と条文の知識を覚えているかどうかだけの問題だわ」

建太郎「うん……。ちょっと難しくないか?」

胡桃「まず、問題となっている条文を確認しておくわよ」




(履行の強制)

第四百十四条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。

3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。

4 前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。




胡桃「直接強制はどの条項の規定かわかるわね?」

建太郎「1項だな。債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。とある」

胡桃「そうね。その条項に基づく直接強制ができるかどうかの問題よ。まず、1はどうかしら?」

建太郎「金銭債務だから、直接強制ができるよな」

胡桃「そうね。金銭債務については、直接強制のみが認められているのよ。2はどうかしら?」

建太郎「似顔絵を描く債務は、直接強制のしようがないよな。債務者自身が任意に履行しない限り、実現は図れない」

胡桃「そうね。3はどうかしら?」

建太郎「営業しないという債務は、不作為の債務だから、直接強制はできないよな」

胡桃「そうね。間接強制によるしかないわね。4はどうかしら?」

建太郎「これは判例の事例だよな。謝罪広告をする債務は代替執行が認められていると」

胡桃「そうよ。判例を確認しておくわよ」




新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、代替執行をなし得る。




胡桃「5はどうかしら?」

建太郎「建物の明け渡し請求は執行官を送り込んで直接強制することができるよな」

胡桃「そうね。民事執行法に定めがあるわ」




民事執行法

(不動産の引渡し等の強制執行)抜粋

第百六十八条 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。




胡桃「というわけで答えは?」

建太郎「1、5の二つだな」




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posted by 実務で学ぶ資格試験プロジェクトチーム at 19:59| 行政書士試験過去問