2019年08月19日

行政法1−7 行政法総論 行政書士試験過去問 2012年問8

次の記述のうち、正しいものはどれか。




1、地方公共団体が将来にわたって、継続すべき一定内容の施策を決定した後で、社会情勢の変動等が生じたとしても、決定された施策に応じた特定の者の信頼を保護すべき特段の事情がある場合には、当該地方公共団体は、信義衡平の原則により、一度なされた当該決定を変更できない。




2、公務員として採用された者が有罪判決を受け、その時点で、失職していたはずのところ、有罪判決の事実を秘匿して、相当長期にわたり勤務し、給与を受けていた場合は、その様な長期にわたり事実上勤務してきたことを理由に、信義誠実の原則により、新たな任用関係ないし、雇用関係が形成される。




3、課税処分において、信義則の法理の適用により、当該課税処分が違法なものとして取消されるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお、当該課税処分に係る課税を免れしめて、納税者の信頼を保護しなければ、正義に反すると言えるような特別の事情が存する場合に限られる。




4、課税庁が課税上の取り扱いを変更した場合において、それを通達の発出などにより納税者に周知する措置をとらなかったとしても、その様な事情は過少申告加算税が課されない場合の要件として国税通則法に規定されている正当な理由があると認められる場合についての判断において、考慮の対象とならない。




5、従来、課税の対象となっていなかった一定の物品について、課税の根拠となる法律所定の課税品目に当たるとする通達の発出により、新たに課税の対象とすることは、仮に通達の内容が根拠法律の解釈として正しかったとしても、租税法律主義及び信義誠実の原則に照らし違法である。







建太郎「むむっ……。小難しいことがごちゃごちゃ書かれているな」

胡桃「全部基本的な判例の問題よ。簡単だわ」

建太郎「マジかよ!」
胡桃「まず、1はどうかしら?」

建太郎「社会情勢の変動が生じても、施策を変更できないというのはおかしくないか」

胡桃「そうね。設問のような場合は、特定の者に対して、不法行為責任を負うことはあるかもしれないけど、変更できないわけではないということね」

建太郎「おう。これは判例からの出題だな」




地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入つた者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。(最判昭和56年1月27日)




胡桃「次、2はどうかしら?」

建太郎「そんな話があるはずがない。常識で分かるよな」

胡桃「判例を確認するわよ」




郵政事務官として採用された者が,禁錮以上の刑に処せられたという失職事由が発生した後も約26年11か月にわたり勤務を継続した場合に,国(旧日本郵政公社,郵便事業株式会社が逐次その地位を承継)において上記の者が国家公務員法76条,38条2号に基づき失職した旨を主張することは,上記の者が上記失職事由の発生を隠して事実上勤務を継続し給与の支給を受け続けていたにすぎないという事情の下では,信義則に反し権利の濫用に当たるということはできない。(最判平成19年12月13日)




建太郎「つまり、郵便局側が、その職員が失職していたことを主張することが、信義則に反し権利の濫用に当たるということはできないという意味だよな」

胡桃「そうよ。間違えないでね。次、3はどうかしら?」

建太郎「これは正しいよな。税金は平等に課するのが基本で、よほどのことがない限り、例外扱いはできないと」

胡桃「判例を確認するわよ」




租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものかどうか、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責に帰すべき事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠である。(最判昭和62年10月30日)




胡桃「次、4はどうかしら?」

建太郎「よくわからないけど、これも判例か?」

胡桃「そうよ。次の判例ね」




納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,(1)外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る課税上の取扱いに関しては,法令上特別の定めが置かれていないところ,課税庁においては,かつて,上記ストックオプションの権利行使益を一時所得として取り扱い,課税庁の職員が監修等をした公刊物でもその旨の見解が述べられていたこと,(2)課税庁においては,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降,上記の課税上の取扱いを変更し,給与所得として統一的に取り扱うようになったが,その変更をした時点では通達によりこれを明示することなく,平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記したこと,(3)上記ストックオプションの権利行使益の所得区分に関する所得税法の解釈問題については,一時所得とする見解にも相応の論拠があったことなど判示の事情の下では,納税者が前記権利行使益を一時所得として申告し,同権利行使益が給与所得に当たるものとしては税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。(最判平成18年10月24日)




胡桃「つまり、過少申告加算税が課されない場合の要件として国税通則法に規定されている正当な理由があるということね」

建太郎「課税庁が周知徹底していなかったからだな」

胡桃「次、5はどうかしら?」

建太郎「これは間違いだな。判例の出題だ」

胡桃「そうね。有名な判例だわ」




論旨は、通達課税による憲法違反を云為しているが、本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解するに妨げがなく、所論違憲の主張は、通達の内容が法の定めに合致しないことを前提とするものであつて、採用し得ない。(最判昭和33年3月28日)




胡桃「ということで答えは?」

建太郎「3だな」


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posted by 実務で学ぶ資格試験プロジェクトチーム at 21:07| 行政書士試験過去問